社長さんと出会ってから三ヶ月ほど経ち、私達は背徳の関係を続けていました。回数こそ減りましたが、彼との時間はいつも新鮮で私の至福の時となりました。主人との関係も変わらず、まだ知られていませんでした。もちろん主人とも行為をして、社長さんとも...
最初の頃は罪悪感もありましたが、今ではそれも薄れていつのまにか自身の欲望に支配されてしまっているようでした。
しかし、そんな至福の時間もあっという間に終わりを迎えました。
社長さんが修理中の船から落ちて、脊髄を痛めてしまったのです。全身を打ち、かなりの麻痺が残ってしまったのです。病院に長期入院となり、
意識も戻ったり、戻らなかったり..
それでもかろうじて会話はできる程度には回復をしました。私は奈落の底に落ちた気がしました。
あんなに元気だった社長さんが..まさか..
もちろん体の事、今後の事など心配でたまりませんでしたが、私は
「もう..社長さんに抱いてもらえない..快楽の絶頂も味わえない..」
そんな不謹慎な事も思ってしまったのも事実です。
社長さんはかろうじて動く口で、家に置いてあるビデオや道具を私に持って帰るように伝えました。私は涙が溢れてきて、手が震えていました..
そしてまた、意識が遠のくと看護婦さんに病室から出るように言われ、そのまま彼の家へ向かいました。そして社長さんに言われたようにビデオや道具などをまとめました。フッと家の中を見渡すと彼と過ごした時間がグルグルと頭の中を巡ってきました。もう来る事ができない愛の巣...
私は寝室を見渡し、ベッドに手を置くととめどなく涙が溢れてきました。振り切るように屋敷を出て、そのまま自宅に戻りました